the mutter of a drunkard part2

 友人が入籍した。大学の同級生だが歳はひとつ下である。それよりも僕にとって大事なことは、彼が僕らの代の中で一番年収が低いことだ。この僕よりも、である。

 彼の生業はミュージシャンで、メジャーレーベルとも契約している。しかし、大所帯のバンドに所属しているため、事務所から出る給料は少ない。

 僕はお金がないと、あるいは、稼げないと一緒になれないと思っている。「ふたりでならなんとかなるよ」的な考え方はこれっぽっちもできない人間である。最小単位とはいえどもひとつの社会を作るわけだから、先立つものがないと不安で仕方がないからだ。

 僕の年収は300万前後だ。だから相手にかなりの〈自活力〉がないと結婚なぞ無理である。そういう考えもあり未だに独身を通している。結婚しても良いと思った付き合いは何度かあったが、その都度、相手は自活力がない相手ばかりだった。経済的に相手に頼ろうとしていた。金がなければ何もはじまらないと思っている僕は、いざ結婚という流れになると身を引いた。自分の首を絞めるようなものだからである。

 こういうことを考える人間はたいてい「ちっぽけな」人間である。

 したがって、僕の友人は偉い。まっとうな人間である。

 永久に幸あれ。