パラパラと生える右のもみあげを剃り忘れて仕事へ行く。新幹線に乗ってから気づく、この悲しさ。
仕事。クオリティの低さ。申し訳ない。
電車が運転を見合わせる前に、部屋にたどり着く。綾瀬駅に着き、駅からすこし離れた自転車置場へと向かう。バッグを傍らに置き、二段ラックの上段に止めた自転車を下に降ろし、他の人の邪魔にならないようにおく。カゴから橙色のパッカブル状態のポンチョを取り出し、被る。フジ用に以前買ったポンチョだが、今日の帰り道で初出動。
少しだけ風雨が強い部屋へ帰るその道中、台風が来るたびにワクワクしていた自分の子どものときを微かに思い出す。ポンチョのフードがズレて顔を覆い前方が見えにくくなる。速度を落とし、右手をハンドルから離し、それを頭部の後方向へ戻す。そうこうしてアパート前に至る。
心をリセットするために眠剤を服用し、眠る。0:00、起床する。ラジオのスイッチを入れ、なんでもなくつまらない放送を聞きながら、電子レンジの中に冷凍うどんを放り込む。氷水と出来合いの昆布つゆとわさびで食す。
なんだろう。仕事に手をつけられない。そんなことを、また今日も繰り返す。トイレに行く。そこで風と雨が強くなっているのに気づく。
