a hangover in my life

 酷い二日酔いだ。カーテンを開ける気力もない。
 起き抜けに昨日買った水の残りを飲んでから、バファリンガスモチンを飲む。
 ぬるめのシャワーに入る。
 それから、カップアイスを半分食べてから、トレドミンとリーゼを2錠ずつ。
 カーテン越しに感じる外の雰囲気は暑そうで、最悪だ。
 バファリンが効かないので、もう2錠追加する。
 4錠はないとダメみたいだ。
 ふらつく。
 でも、それがいまの普通。
 身分相応。

 保険は9月で切れる。
 それから、診察は実費となる。
 いつまで病院にいけるのかな。
 3割負担の間に限度いっぱい薬をもらっておかなければ。
 そして、薬が無くなったら、終了。

 「地獄の沙汰も金次第」とは良く言ったもんだ。
 身分相応。
 
 心が全く動かなくなった。
 ここ4年くらい。
 いや、それは萌芽の時期であり、どうにもならなくなりはじめたのは、1年半前くらいだろうか。
 先週、中学の同級生の息子が川で溺れ死んだ。
 辛いだろう。苦しかっただろう。
 だが、僕は、それほど、何も思わない。
 同級生の奴にも、溺れ死んだ子どもにも。
 小学校に上がったばかりだから、楽しんで、そしてじゅうぶん生きたろう。
 それだけの話。
 数年前、これも中学の同級生で遊び友達だった奴が、筋弛緩剤で何人か殺した。
 これも、何とも思わない。
 彼自身に対しても、死者に対しても同情はない。
 ただただ、事実を認識することだけだ。
 頭にがっしりとフリッツ・フォン・エリックのアイアンクローが決まっている。
 思考にも、痛みにも。
 身分相応。

 さぁ、自分、今日のお仕事へ行きましょう。
 生徒様へ失礼のないようにね。
 生徒様に救いようのない脳みそ、ばれないようにね
 自縄自縛に陥って悪臭を放たないようにね。
 生徒様へ問題文、設問の正解だけを伝えようね。
 生徒様へ間違ったことを、自分の偏った、そして誤った解釈を伝えないようにね。
 人には別の顔をみせようね。
 二日酔いなんだからブレスケアを買っていこうね。
 限界は超えているんだから、無理しないようにね。
 
 超えそうなときは、そのときは、いなくなれば良いんだよ。
 身分相応にね。地面にキスする。

 無文早々。