memorandum - "about denon"

 備忘録、DENON篇。

 一瞬だけメインアンプとして使ったDENON PMA-7.5Lと、そのまた前に使ったDENON UPA-F10とにつないだD-150は重心が低めの鳴り方をする。その音像がDENONのミニコン・サイズのアンプの特徴なのか、それともDENON製のフルサイズを含めたアンプリファー一般に共通するキャラクターなのかを判断するにはサンプル数が少なすぎるので、分からない。

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 特筆すべきは、UPA-F10はその己の「どっしり感」「重心の低さ」を強くスピーカーの音に反映させる点だ。こういったキャラクターを愛する人々は一定数以上存在するのではないか。他の機材との組み合わせ次第では、ミニコンの枠を飛び出して大きく化ける可能性をそのシンプルネスを地で行ったようなデザインの筐体の内に隠し持っている。


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 それに比べるとPMA-7.5Lは、リニアでスピード感がある鳴り方をスピーカーにさせる能力に長けている。PMA-7.5Lの音のバランスは大変好ましいし、音色自体もいわゆる「デノンサウンド」とはかくあるべし、というのをこのミニコンサイズのアンプは示している。たしかに低音域を充実させようとしているのは分かるが、それにもまして高音域から低音域まで音の透明感をも持ち合わせている当機のキャラクターは訴求性大だ。またデザインも他のミニコン群と一線を画してフルサイズの機材を意識したかのような「ちょっとした高級感」があり、所有欲を満たしてくれそうだ。なるほど、当時一般受けしたのも郁子なるかな。

 よくデノンとオンキヨーは二項対立の図式にあてはめられて聴かれ、そして論じられるケースが多い。しかし、「どちらが優れている」といった相手を貶めるかのような語られ方や、「音色の違い」を「音色の優劣」に置き換えて、どちらか一方の立場から相対している相手の存在を否定するような批評をするのは不毛だと思う。

 他者へのリスペクトに基づく行為が、回りまわって己の評価を高めるのだ。〔了〕