2015.10.15 - finished, maybe

 午前7時、前日来の雨は本降りのままだ。気温が低いからか、靴下を履きたくなる。茶を点て、いただく。合わせて、エコーを1本を喫する。平素あまり睡眠時間が短いのは、他ならぬ体調のせいなのだろう。そうはいっても、大事なことを脇へ放っておいて長い時間眠るときもある。眠剤の影響ではあまりなさそうだ。食欲がないので、朝ご飯をいただくのはとりあえず見する。

 仕事机の右脇に取り付けている作業灯を点ける。部屋全体を照らす灯りを点ける気分ではないので、作業灯の灯りとモニタの光だけでこの日記を打ち込んでいる。話が逸れたが、机上の左にあるSony製のDACアンプに火を点け立ち上がったあと、一番下にあるSansui製のプリメインアンプにも火をいれる。A-α7に火をつけるのは、このあとプリメインを交換しようと計画しているからだ。だからリファレンスとなる音を聴いて、交換後の評価につなげる心づもりだからだ。

 相も変わらず、Sansui製のミニコンポサイズのアンプは美音(全き主観)の基になっているのを耳で確認する。15年ほど前にAU-D707X DECADEを入手しその音を聴いてからというもの、僕は「サンスイ党」になった。件のアンプはあまり程度がよろしくなく、1年弱で煙を吐いて、機能不全に陥ってしまったのだが、Luxeman製のアンプをしばらく使ったあと、AU-α607DRの程度の良い動作品をオークションを通じて手に入れ、また多少違う趣きをたたえた音で好きな音楽を聴いたものだ。

 午前8時過ぎ、胴体の中の違和感が薄れつつあるので、この機に朝食をいただく。食パン1枚に薄切りハム1枚とスライスチーズをのせて、食す。のち、今日1度目の服薬。

 シャッフルで音楽をかけている。午前11時頃、Lucky Dubeの歌がかかる。"Together As One"。彼は2007年に母国である南アフリカヨハネスブルクで殺害されてしまった。だが彼の詞とメロディとレゲエの幸福な邂逅はいまも僕を揺さぶる。僕は彼のように無垢な言葉を使うのを避けているが、ジャンルは何であれ、いつだってアートの見えない芯の部分には、彼の詞のような、ある意味で初源性や根源性ともいうべきモティヴェイションが感じられる。僕はそういう部分に触れると、あるいは触れそうになると、意識が揺さぶられ、ときには眼から涙さえも滲みだしてきてしまう。「青臭い」。言われれば、そうなる。でも、そんな青臭い大人を否定するダイヴァーシティの欠如した文化はつまらない。呼吸ができない、とでも言おうか。


 午前11時半、今日の仕事の準備にとりかかる。心の中で予定していたアンプリファーの入れ換えは、いま少し時間が経つのを見てからまた考えることにしよう。傾眠傾向が生じてきたため、それを抑えるための薬とその持続性を担保する賦活剤を服薬。そうしてから、引き続きジャンルをクロスオーヴァーさせた状態でシャッフルされた音楽が放出されるのを聞きながら、仕事を続ける。

 午後1時30分頃、今日の仕事分の仕込みにめどがついたので、朝から聴いていたSANSUI A-α7を同じサンスイ製のA-α9にチェンジすべく行動を開始する。このA-α9は天板に少し凹みがあり、かつ電源コードが三点支持のプラグを備えた極太ケーブル(おそらくホスピタルグレード)に交換されており、オリジナルの姿・状態ではないので、誰も入札せず、僕が火中の栗を拾うがごとく入手したアンプだ。山水のアンプは、僕が知っている、あるいは使用した限りにおいてだが、どのようなラウドスピーカーと組ませても「サンスイトーン」を鳴らす。スピーカーのもつ音のキャラクターを出しつつもそこにサンスイトーンを忍び込ませるのに長けている。それは決してネガティヴな音のヴェクトルではなく、ポジティヴな音のヴェクトルが空間に放出されている、と僕は解釈している。たまたまそのような組み合わせしか聴いていないからかもしれないが。

 午後2時、入れ換え完了。前セットと同様にDACSONY UDA-1を使い、そのラインアウトからA-α9のCDへ音を入力する。A-α9とつなげるスピーカーは、これもA-α7から引き継ぎONKYO D-150 Liverpoolである。音のことはオーディオのエントリーで述べることとしよう。このテーマを語ると際限がなくなる。

 仕事場へ向かう車中で服薬。3度目。

 午後10時45分頃、帰宅。そそくさと着替え、換気扇の下で煙草をのむ。途中で、灯りにつられたのだろうか、1匹の虫が外からパチパチという高速回転する換気扇と虫が触れ合う音をたてつつ飛び込んでくる。ゴキブリだろうか。カメムシだろうか。はたまたガだろうか。あれではおそらく無事でいられまい。僕は小さく驚き、それから少しの間、エコーの味を忘れる。

 食欲があまりない。かといって何か食べないと服薬に、薬剤の効き具合に影響する。しばらくして、日付が変わる頃、パックされた白飯200gを温め、茶碗に移し、そこに茶漬けの素をふりかけ、ぬるま湯で浸し食す。その後、服薬。4度目。〔たぶん、了〕