primal scream

 いま、Primal Screamの1st.を聴いている。このアルバムの評価は高くはないが、これはこれで良いアルバムなのだ、と思う。このアルバムで聴けるJim Beatieの12弦ギターの鳴り方は僕の心の琴線に触れてやまない。そして、Bobby Gillespieのヴォーカルは身体の中を心地よくすり抜けていくようだ。後のThe Stone Rosesの音楽性の雛形になったことも特筆しておかなければならない。

 音楽は他者の評価軸上で聴くものではなく、自己の主観的評価上で聴くものなのだ、ということを再実感。耳を中心とした身体で音を捉え、自分独自の評価を与えていくという聴き方である。言い換えれば、リスナーが100人いたら100通りの感想や評価が出てくるということである。
 できそうでできなかったこういった聴き方が、この歳になって(40歳を過ぎて)できるようになってきたのも、なにか、不思議な収穫物のような気がする。

 まだ若かった頃のように「これを聴いていたら格好良い」「○○(雑誌やラジオ番組、TVの音楽番組など)でプッシュされていたから聴いてみる」という社会的評価を前提にした聴き方ではなくなっているということを意味しているのではないか。おそらく、音楽に初めて触れた時からすでに自分の主観的評価軸で聴く人が多数であろう。しかし僕は、初めは、格好をつけて音楽を聴いていた、というより、聴く音楽を選んでもらって聴いていた。

 そういう音楽の聴き方が後退し、音楽自体を、純粋とまではいかないが、そのものを他者の評価に左右されずに聴けるようになった。

 これは、良いことではないか。歳をとるのも、悪くはない。


イメージ 1