a day with emptiness

 はぁぁ。
 結局、日がな一日、何もせず。
 いましようとしていることをしているのだけど、
 その続きに対して、どうにも心が動かなくて。
 まぁこんな日もあるさ、と開き直れる季節もとうに過ぎ去っているわけで。
 でも、梃子でも動かない心がいる。

 散歩がてら、外に出る。二十度を越えているはずなのに、肌にひんやりと感じる空気が漂う。鍋蓋のような十年目のステンレス色した曇り空。
 今年の秋から来年の春に着ようと、道すがら、四枚のシャツを手に入れる。
 暖色系、三枚。寒色系、一枚。すべてボタンダウン、大好きなベン・シャーマン。
 カルディへ買い物に行く。
 オリーヴオイル四五〇ミリ、一本。コーヒー、二〇〇グラム。エスプレッソマシンを持っていないのに、エスプレッソ挽き。ペーパーで淹れると、微妙な、だけど、大好きな味わいになる。そして、セールもののパスタ、二束。
 公園に寄る。
 今日は猫が、いない。小さな公園は重たそうな蓋を被っている。
 両手を両腿に挟みこんで祈りを捧げているかのように俯き、身動ぎひとつせずベンチに座っている帽子の男。足を投げ出してサボる灰色の背広の男。僕。三人。煙草、一本。
 部屋のある建物の一階にあるドラックストアへ行く。
 卵、一パック。低脂肪乳、一本。食パン、八切。
 部屋に戻る。
 白米を炊く。卵三個で半熟のスクランブルエッグを作り、ツナ缶を開ける。一皿に盛り付ける。ハナマルキのインスタント味噌汁をお椀に捻り入れ、お湯を注ぐ。
 早めの晩御飯を。そして、一眠り。
 牛になる。

 でも、これらはしていたしようとしていることの続きじゃない。

 テレヴィはずっと点けっぱなし。音楽はちっとも鳴らない。
 今日の夜は心を動かそう。
 朝になっても、動かそう。
 きっと。

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「今日の1曲」:『頼りない天使』 by Fishmans

… 今日のはじまりだけ、音楽は響いてました。

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