前者の組み合わせは重心が低く、それでも低音過多にはならず、バランスよくスピーカーをドライヴしていた印象をもった。
一方、現在進行形で聴いている後者の組み合わせは、多少腰高で、一聴すると「軽いのかな」と判断してしまいそうだが、それを踏みとどまらせる奥の深さが聴こえる、という印象をもった。前者と同様、後者もスピーカーのドライヴ力は十分だ。
双方に言えることは、UDA-1のように4312MⅡを駆動し切れていない出音ではなく、それぞれのキャラクターでスピーカーをドライヴしている音がする点だ。好ましい。僕のようにミニコンポサイズのガジェットで鳴らすのではなく、フルサイズの機材を揃えアクセサリー類も充実した環境で鳴らしたらどうなるのだろう……と要らぬことまで夢想してしまう始末だ。そうなるくらい4312MⅡがよく鳴っているのだ。
人それぞれの主観的好悪で決まる領域ではあるが、音自体の素性で言えば、後者の方が質が高いのではないか。またさらに強引に言えば、前者はジャズ寄り、後者はロック寄り、とも言えないことはない。前者で聴けていたジャズのもつ"濃厚な歴史性"を、後者は横浜は赤レンガ倉庫周辺で開催された"Blue Note Jazz Fes."にしてしまう感覚を覚えた。(これら発言は、"Miles&Monk At Newport"とStarletの"Stay On My Side"(泣かせるタイトルだ……)の2枚の試聴ディスクを基準としたものだ)
はてさて、どうしたものよのう……。