my opinion to the world

 あきらかに自分の労働が搾取対象となっているよね。ふーむ……。

 でも、あえて言えば、この差を甘受し受容することによってのみ、白人サークルである「先進国」(とても嫌な響きの言葉だ)のメンバーとして、現在までの日本はアジア圏で唯一の先進国足り得た、とも。

 日本は、甘やかされているのか。あるいは、崩壊の最中にある中産階級から「見えない搾取」をもって欧米クラブの「名誉会員」足り得たのか。

 考察としては、もし日本がこの表にある「ドイツ」と「フランス」のレヴェルまで労働環境を是正(あえてこの言葉を使う)した場合、日本社会はこれら両国と同程度の〈豊かさ〉を手にできるのだろうか。あるいは、従来、日本の役回りだった「先進国の汗かき役」としての位置を新興国の国々に取って代わられる可能性はないのだろうか。または、もうすでに代わられつつあるのではないか。

 表に数値として現されている「格差」を一見すれば、なるほど労働年齢人口が不安定な立場を受け容れざるを得ない、搾取されざるをを得ない社会内地位にあるのはすぐに分かる。だが、そういった判断には〈通時的視点〉からの分析と考察が欠けていると言わざるを得ないのも一面の事実だ。

 僕は現在「ワーキング・プア」と呼ばれる労働者層に分類される立ち位置において働いている。来週になったら、明日になったら、この仕事は自分のスペックに勝るスペックを持つ他の誰かに取って代わられるのでは、と戦々恐々としている。これは、演劇でも映画でもなく、日本社会の労働環境における一面の事実だ。どれだけ働いても、ここ数年、所得が年収ベースで180万を超えたためしはない。150万円行けばいい方だ。僕の人間としての性能が低いからだともいえる。では、僕のような人間が目指す社会内地位的な目標を設定できるかと聞かれたら、ノーと答える。先にも示したように、目標とすべき中間層が崩壊しつつあるからだ。壊れかけているものを目標にするほど酔狂な人間はほとんど存在しないだろう。

 安直に、拙速に、日本と欧米諸国の労働環境の差を示すデータを根拠に、現状を否定し去るのは、この国の首相と同じ知的レヴェルを公然に曝すだけだ。日本は世界におけるパワーバランスを念頭に置きつつ、先進国としての立ち位置を保持しながら、東アジアという地政学的に不利な所与の条件を踏まえて、まだ誰も知らないところの新しい〈日本社会の経営法〉を構築し、かつ即座に具体的な形としてこの社会に浸透させていくのが是、だと考える。タイムリミットは2050年だ。現状のまま社会の諸情勢が推移すれば、高齢者人口の割合は4割を超え、年少人口の増加もままならないことから労働年齢人口も現在より大幅に減少し、総人口に至っては8000万人まで減少すると予測されているそのポイントまでに、政治が手を打てるのか。

 「改憲」「護憲」のどちら、という踏み絵を踏ませる選挙ではなく、すでに成熟した日本経済の成長を高度経済成長期の水準に戻す、などという夢物語を信じ込ませ投票させようするどころの話ではない。

 僕は問題を問題として共有し、この国をいまの生活水準をなるべく落とさずに、なんとか労働に意味を見出し、生活を構築できるようにすべきだ、という問題意識を共有できる政治勢力や個人に対して自分が持っている票を行使したい。ただ、それだけだ。白票も辞さない。最後まで見届け、投票所へ向かいたい。

 ダラダラ長文、堪忍。