僕は祖母が生きた年月の半分を重ねたが、
何事もどうにもならず、いまだ風呂無しアパート住まいだ。
そんな所で祖母の冥福を祈った。
心底申し訳ない気がする。
小さな板に書かれた祖母の戒名を、
入れ替え式の戒名入れの一番前に出した。
祖母が好きだった菓子パンを遺影の前に供えた。
灯明を点け、線香をあげた。
祈った。
それ以外、何もできない自分がいた。
この空虚感はなんなのだろう。
ただ、祈った。
それだけだった。
日々は爪を立てて僕を背中から急かすけれど、
祖母への祈りの時間だけは、
ただただ、何もなく、
空白の時間だった。
合掌しているあいだは、
何かが空白を呼んでいるのだ。
きっと。
どこからか。