necessity knows no law

 人間が発情している。

 仕事の帰り道。明るい商店街を歩くのは苦手なので、その裏にある小さな公園を帰り道にしている。ここのところ、帰り道の途中で絡み合っているアヴェクに必ずといってよいほど遭遇する。なんだかなぁと思う反面、微笑ましい気分になる自分がいる。

 今晩の帰り道には3組のアヴェクがいた。
 砂場で膝枕をするアヴェク。(なんで砂場なんだ?)
 シーソーの上で堂々とフ○○チオをする高校生のアヴェク。(キスはいいけど、それは見えないところでしましょうね)
 金網を背にきつくきつく抱きあう不倫ぽいアヴェク。(大衆の目に曝されていますけど、大丈夫ですか?)

 なんでこれで「少子化」なんだと思わされるくらいの勢いだ。
 寒くなれば肌も敏感になり、その擦れも暖かさも普段より数倍は気持ちよく感じられるのだろう。彼女/彼らの表情や態度がそれを物語っている。気持ち良いというだけではなく、自己の存在が肯定されている感覚に至っているのだろう。

 夏よりも今の季節の方が、こういった光景に出くわすことが多いのはなぜなのだろうか。夏は開放的とよく言われるが、実は暑すぎて、そこまで行動できないのかもしれない。

 何もない僕にとっては眼の毒だが、それはそれで構わない。命が燃えている光景の脇を何も気にしていない素振りで通り過ぎるのも、この季節の一興である。