get back to a ordinary life

 重く、虫が這いずりまわる頭を抱えて起きる。

 部屋の窓を開ける。晴れてはいるが暑くはない朝の天気模様。澱んでしまった空気を入れかえる。

 シャワーを浴びる。昨晩呑んだ質の悪い酒を身体から追いだす。しかし思ったよりも汗をかかない。

 コーヒーを淹れる。一昨日買ったメロンパンを三口食べる。頭痛薬を服用する。どこまでも青白そうな空を見あげる。

 昨晩のことに思いを及ぼす。自分が最悪だったことを再認識する。

 いただいたあんころもちを食べる。そのための緑茶を買いに行く。うまい。どこまでも青白そうな空を再び、見あげる。

 昨晩迷惑をかけた人の携帯へ謝罪と感謝のメールを送る。卑げた心を反映した行為をする。

 新聞を読む。記事の裏にある物語を思う。永遠に続いていくと錯覚していた流れが不条理なありかたで切断されることの意味を考える。意味はないはずだが。考えてみる。

 部屋の片付けと掃除をする。同時に、昨晩から引き摺っている気持ちも整理する。ものが片付いていく。心も片付いていく。だが、どこに片付けてよいのかわからない心が残る。もてあます。空をまた、見あげる。

 Teenage Fanclubの新譜 "Man-Made" を聴く。聴くというよりも流しっぱなしか。感情の中の何かを揺さぶられる。そして刺される。その合間合間に人に作ったコンピレイションを聴きかえす。何かを揺さぶられる。そして何かの感情を誘おうとする。

 仕事の続きをする。さぼり気味だったペースを日常の流れに戻そうと試みる。

 背伸びをしてみる。凝り固まった肩と背中を伸ばしてみる。

 両方のこめかみを人差し指と中指で交互に押してみる。凝り固まった頭を十本の指先で押してみる。

 異様に凝っていて痛む左の肩を右手で揉む。指が入らないので揉むというよりも触れる。

 洗濯に行く。溜まったものをすべて洗う。自分の身体も洗濯機の水の渦のなかに放り込んで洗ってしまおうかと夢想する。

 ベランダにたたずむ鳩を眺める。空を見あげる。天気が崩れていきそうな気がする。

 果たしてここに書いたことがいくつ、今日、本当のことになるのだろうか。