i'm so sorry

今日の夜、仕事の帰り道、いつもの公園を通って帰った。
公園の隣にある小さな神社を住処にしている猫といつものように遊びながら帰ろうと思ったのだが、先客がふたりいた。
お互いの身体を弄りあいながら熱烈なキスを交わすふたりがいた。
男のひろげた腕が作りだす奥深さ。その中に背伸びをしながら収まる小柄な女の身体。
ひとつところとして止まることない重なった顔と顔が闇の中に蠢いていた。
乱れた男の灰色の背広。ずり上がった女の白いカットソー。
でも、ヘッドフォンをしているせいで、ふたりの会話は聞こえなかった。
そのとき鳴っていたのは、"Begging You" by The Stone Roses。ぴったりじゃないか。
あっちはあっちこっちはこっちと思いながら、ブランコのところで猫を撮ろうとバッグからカメラを出した僕に気づいたふたりは、都合が悪いと思ったのか、小さく細長い公園の奥の方へ場所を移した。
あの、ごめん、そっちは…。僕の帰り道なんです…。
ちょっとだけ遠くの方で再開された営みが、公園にひとつだけある時計付きのライトにぼんやりと浮かんでいた。
その先に借りている部屋へ帰るため愛し合うふたりの真横を過ぎようとしたとき、なんだかホンワカしてしまった。
iPodのヴォリュームを上げた。
中てられたのかな、ふたりの熱源に。
でも、こんな季節も悪くないな、と。

気を遣わせて、ごめんなさい。
猫たちだって遠慮していたのにね。

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「今日の一曲」:"Creep" by Radiohead

… ということで。

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