09-29.10.2018

 しばらくこのたわいもない日記を書く行為から距離をとっていた時間の向こう、何のことはない、あの油地獄の夏は過ぎ去っていったみたいだ。部屋に居ようが街に居ようが、秋のもつさらりとした空気感が僕の身体にまとわりついてくるようになっていた。まったくもって、悦ばしい。

 とはいうものの、相も変わらず僕の心は閉じ加減である。ミクロン単位で動いたり、その一方ではフリーズしたりと、アンコントローラブルで難儀なものに一喜一憂、いや、一喜百憂ぐらいしつつ、よんどころなき様々な事情から減らしてしまった仕事に費やすはずだった時間のほぼほぼを、空虚な空間に揺蕩うように過ごしている。

 さっきまで、この日記に書こうと念じていた思いは、これを書き始めた途端、どこかへと消失したみたいだ。

 とりあえずいえるのは、今年の春先にあった冬物のバーゲンでしこたま仕入れた外套類をそろそろ着始めようかな、といったようなさらにいたってどうでもいいことだ。ひとシーズン分周回遅れの「モード(笑)」を着させたら、人は僕のことをおそらくこのニッポンで十指に数えてくれるではないかと思う。

 いまInterFMは、90年代のU.K.モノを鳴らしている。


 センチになる。泣きそうだ。こんなB.G.M.は、その頃の僕に起こっていたことを、それも忘れてしまいことを、頭の中のどこかからか引っ張り出してくる。嫌ならラジオをチューニングし直すか、アンプとチューナーのスイッチを切ればよいのだが――何をか思い出してそれを生き直してみるのも、ことさら辛い行為ではあるが、存外いまを生きることに不可欠な身振りなのではないか――と独り言ちてみる。

 これは、そろそろ、着れそうだな。木曜日、宇都宮へ行くときにでも、着ていこうか。

イメージ 1