2017.08.15

 終戦記念日。過去は時間軸に沿って反比例するように人々の記憶から遠ざかっていくものだが、日本人のみならず「戦争」にかかわったすべての人々にとり、この最も近しい戦争の記憶が忘却されることは当分ないだろう。思想的立場や世代間の捉え方の違いなどにより広義の意味での「戦争」に対するスタンスは違えども、「戦争」を書き表していく行為を人々が止めないかぎり、大小相違あれども、記憶は続いていく。

 ただし、歴史はその性質上、社会システムを運用していく者たちにより歪曲されてしまうのを避けられない。また、時間の経過とともに変質していくのも不可避だ。つまり、全くニュートラルで全き客観性をもつ記憶をベースにした経過していった時間の記録は存在しえない。それは、人間が、すべての生命がその身体にアンバランスな構成をもつように、あるいはアンビヴァレントな存在であるように、不完全性を排除できない存在の行為の延長線上にあるものだからだ。
(つづく)