the root of my soul

 今日はSのK校で補講を行った。今年度の最終講義だったので、色々と生徒さんとの交流があった。もう二度と会わない子もいるだろう。この地方独特の素朴な子たち。僕の故郷の近くで、同じような空気を吸って、今日まで育ってきた子たち。だから、入試での成功を祈らずにはいられない。

 「大丈夫。絶対ということはこの世の中にはないけれど、この1年間為すべきことを為してきたあなたたちには合格する権利がある。それはもうすぐそばにある。だから、大丈夫。気にせずに試験場へいってらっしゃい。自分のやりたいこと、夢、為すべきことは向こうからやってくるもの。ただし、考えることをしている人、行動をしている人のもとにしかやってこないんだよ。じっとしていても、待っていても、やりたいことや夢なんて見つからない。ましてや『本当の自分』なんて見つからない。というか、そんなものはない。強いて言えば、何かを考え行動している、つまり、ここで勉強や学習をしているあなたが『本当の自分』なんじゃないかな。だから、よくテレヴィで言っているような『自分探し』なんてことしないでね。もう、見つかってるじゃん。今、そこに座っているあなた、勉強しているあなたが『ホントのあなた』。早く、とっとと大学に入って、手当たり次第に行動して、経験できる限りのことを体験して、そして考えること。そのために大学があるんだよ。あなたたちの人数分だけ大学という場所の意味があるんだよ。闇雲でもいい。行動して、考えていれば、自分のやりたいこと、夢、為すべきこと、本当の自分は向こうから勝手にやってくる。きっと。だから、早くこんなところからいなくなって、大学へ行っちゃってください……」

 講義の締めに、こんなことを喋ったような気がする。格好つけて喋ったような気がする。反応はいまいちだったけど、伝わらなかったかもしれないけれど、話さずにはいられなかったのだ。
 歳をとった証拠だ。そんなことに気づいて、ちょっとせつなくなった。