2017.07.31 - i built new space for workin'

 新しい机が来た。午前中配達の指定を店の方にお願いはしていたのだが、まさか今日届くとは思わなかった。が、何かしら胸騒ぎがしたので仕事を終えてから急いで帰宅した。部屋へ帰ってみると、やはり佐川さんの不在連絡票がドアと壁の隙間に挟み込まれていた。
 パソコンを開いて再配達の依頼をした。配達予定は1時間半から3時間後。その間に大家さんに来月分の家賃を納めに行った。最近、大家さんは新しい犬を飼い始めた。先代の犬はレトリーヴァ―だったのだが、新しくやってきた犬は小型犬だ。種類は分からない。
 そのあと、仕事上の遣り取りをして、配達予定の時間がきた。ほどなくして佐川さんが僕の部屋のドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けると、大きくて重たそうな段ボールでくるまれた荷物を傍らに抱いて立っていた。佐川さんのその表情は疲れ切っていた。再配達してもらったのをとても後悔する。重たい荷物を玄関に上げた。そして受け取りに判子をついた。

  いままで使ってきた机と交代だ。作業を始める。さすがに机本体の重量が24kgもあると、組み立て場所に移動するのも骨が折れる。仕事部屋は4畳半だから、作業空間もかなり制限される。新しい机は旧い机よりも横幅で45㎝、奥行きで30㎝大きいので辛い作業になりそうだと思った。
 そのような状況下でこれまで使ってきた机上にあるもの、例えばパソコンや外付けのハードディスク、アンプやスピーカー、そして筆記用具やハンドクリームなど整理が行き届いていないものたちを、新しい机へ移動させなければならない。今度使う机は、元はと言えばダイニングテーブルなので、いままで引き出しの中に入れていた判子や銀行関係のものなどもどこかへ移動させなければならない。
 はてさてどうしたものだろうか。新旧交代の作業の戦略と戦術を練った。
(つづく)

(承前)
 新しい机を組み上げて旧い机と並べ、モノを移植し、旧い机を解体して新しい机と置き換えた。思ったよりも難儀な作業だった。古い机の引き出しの内容物をどこに納めるか、まだその行き先を決めていない。これは先送りする。

 ワーキングスペースが{90㎝×60㎝}から{135㎝×80㎝}になった。オーディオ関係の機材とパソコン、ステーショナリーを置いてもまだ紙を広げられるだけの空間がある。広大だ。机の端にアタッチメントを取り付けデスクライトを設置したが、以前は巨大に見えた山田照明製のそれは、新しい机ではなにか小さく、所在なさげに見える。本来ならばこれがスタンダードなのだろう。

 音楽を鳴らす。これまではラウドスピーカー、JBL4312MⅡから出る音はイアフォンのそれのように耳元で鳴っている感じだったが、今は頼りなさげに遠くでつぶやいているように鳴っている。このラウドスピーカーはこんなにも非力だったのかと、自分の内で評価が変わり始めた。プリメインアンプ、SONY USB DAC UDA-1も、以前は己の力を持て余していたように思えたのだが、今はラウドスピーカー同様非力に感じてしまう。――この辺りの感覚のズレは、慣れによるものなのだろう。まだこの机を使い始めたばかりなのだから。きっとこの新しい音像が僕の内での新しい基準になっていくのだろう、きっと。
(つづく)