the earthquake in the morning


 火曜日は資源ごみの回収日なので、04:30くらいに起きだして、自分の面倒くさがりから溜め込んでしまった大小さまざまな段ボールを粘着テープを剝がしてはたたみ、また剥がしてはたたみ、ゴミ出しのためにまとめていた。三つくらいの山ができた。加えて未開封の荷物も出てきた(なにやってたんだ、俺(爆))。そうして空が明けてきた頃、それらをいつものゴミ置き場へせっせと運び始めた。

 二つ目の段ボールの山を外へ出そうとしたとき、住んでいる建物が揺れた。最初はどすんと、そしてすぐに横揺れになり、それはしばらく続いた。建てものが僕よりも歳古きものなので、いつもの地震のように大げさに揺れたのだろう、くらいに思った。

 あらかた片付けが終わったので、いつものように「めざましテレビ」で今日の運勢でも見るかとテレヴィを点けたら、「震源福島県沖」「最大震度五弱」「津波警報発令」との情報が映し出され、アナウンサーがこの世の終わりかと思うくらいの声色で大きな揺れがあった地方の視聴者に注意を呼びかけていた。僕の出身地は、震度四。CMに入っても、津波警報と注意報、そして避難を呼びかけるスーパーは画面の右に表示されたっままだった。

 東北の地は、どうしてこうも厄災に繰り返し見舞われてしまうのだろう。東北人である僕は、遠い地からそう思わざるを得ない。歴史的にも不遇な境遇に繰り返し置かれる、東北。不幸自慢でもなんでもない。実際いまもそうだし、振り返ってもそうだったのだから。

 数多の段ボールの中から見つかった未開封の箱に入っていたのは、以前注文した中古のヴァン・デン・ハルのスピーカーケーブルだった。

 ひとしきりテレヴィ地震の情報を確認したあと、テレヴィを消した。そしてなにを思うでもなく、いつも使っていたスピーカーケーブル、オルトフォンのSPK3900をアンプと二台のスピーカーから外し、そのかわりにヴァン・デン・ハルのM.C. D 352を繋いだ。価格でモノを比較するのは野暮なのはわかっているのだが、先代のケーブルよりも数段良い出音だった。音源はFLACとMP3なのだが、奥行が見えてきた。音の艶ののり具合が滑らかになった。そして、音のリアリティはさらにリアリティを得た。同じスピーカーからの出音だとはにわかに信じがたい。が、クオリティが高くなったのは事実だ。

 この音を二年半放置しておいた自分に呆れる。

 でも、心を揺さぶるまでにはならない。
 いつも通り、午後から始まる仕事の準備をする。



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